いま、日本の観客は非常に良くない。
「こんなものでしょう」と、彼らが労せずとも予想できる範囲内のウエハー
ス菓子のようなものを観せられてもそれで満足している。いや、予想どおりの
舞台ゆえに安心すらしているよう。自らが問い詰められるショックを受ける訳
じゃなし、己れの鈍感さが露見し恥をかく目にも合わされず、「今のまま」の
現実を容認し、“安楽生”をさらに続けていればよいのだから。なかでも観客
エキスパートの批評子のそれは、非常な暖かさを望むべくもなく、甘く薄情な
冷たさばかり。
だけど、こうした観客との精神の馴れあい、傲慢さを居座らせている悪戦況
を導いたのは芸術家側の怠慢とエネルギー不足ゆえと内省すべき。彼ら観客の
惰眠を揺さぶり起こすのは「今とは違う」価値観の創出しかない。それを目に
し、目覚めて頂けるための、真に新しい模索の戦場へ、われわれは出陣するほ
かないのだ。
これから出征の『プロジェクト2000』の芸術創造活動にシアターXは、全ワ
ークショップ期間と公演稽古、本番のすべてを劇場舞台を全面空け渡すことで
加勢したい。
シアターX(カイ)・プロデューサー
人形演劇プロジェクト2000・公演責任者
上田 美佐子
チェコ国立芸術アカデミー人形演劇学部講師・人形劇家
人形演劇プロジェクト2000・講師
沢 則行
銀猫商會・人形遣い
人形演劇プロジェクト2000・代表
黒谷 都