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「人形演劇プロジェクト2000」ホームページ


人形演劇プロジェクト2000に対しての関係者のコメント

 いま、日本の観客は非常に良くない。                 
 「こんなものでしょう」と、彼らが労せずとも予想できる範囲内のウエハー
ス菓子のようなものを観せられてもそれで満足している。いや、予想どおりの
舞台ゆえに安心すらしているよう。自らが問い詰められるショックを受ける訳
じゃなし、己れの鈍感さが露見し恥をかく目にも合わされず、「今のまま」の
現実を容認し、“安楽生”をさらに続けていればよいのだから。なかでも観客
エキスパートの批評子のそれは、非常な暖かさを望むべくもなく、甘く薄情な
冷たさばかり。                            
 だけど、こうした観客との精神の馴れあい、傲慢さを居座らせている悪戦況
を導いたのは芸術家側の怠慢とエネルギー不足ゆえと内省すべき。彼ら観客の
惰眠を揺さぶり起こすのは「今とは違う」価値観の創出しかない。それを目に
し、目覚めて頂けるための、真に新しい模索の戦場へ、われわれは出陣するほ
かないのだ。                             
 これから出征の『プロジェクト2000』の芸術創造活動にシアターXは、全ワ
ークショップ期間と公演稽古、本番のすべてを劇場舞台を全面空け渡すことで
加勢したい。                             

シアターX(カイ)・プロデューサー
人形演劇プロジェクト2000・公演責任者
上田 美佐子


 芝居を作る、試す、そして打つ。打ち続ける。繰り返す行為は同じでも、日
本とヨーロッパには本当に大きなメソッド(やり方)の違いがあります。  
 このワークショップは、両者の衝突と融合を意図した挑戦です。人形や役者
の肉体、仮面や照明、音楽。イメージできるすべてのアートを自由に、刺激的
に舞台の上で再構成する。それは新しい劇場言語の創造でもあります。   
 僕が今、プラハの大学で担当している学生たちは、「鶴の恩返し」をモチー
フに、独自の人形、舞台美術に取り組んでいます。ある学生の作品では、巨大
な鳥かごを思わせる、円柱形の舞台のなか、止まり木のようなブランコをゆす
ぶる等身大の老人と老婆の人形、投影される白い羽根の光が、主人公「つう」
の来訪を暗示します。そこには自由で、新しい古典へのアプローチがありま 
す。そして人形と舞台の美術が、脚本や演出、照明、音響と密接に関連し合っ
て、創作の端緒から同時発生的に生み出されて行くことを意味しています。 
 どうか、想像力と体力の限りをぶつけられる舞台作り、その結果をご覧くだ
さい。                                

チェコ国立芸術アカデミー人形演劇学部講師・人形劇家
人形演劇プロジェクト2000・講師
沢 則行


 私は人形劇が大好きです。人形劇の味方なのです。だから、姿を見失いつつ
ある日本の現代人形劇が痛いのです。                  
 人形劇は、人間が人間以外のモノと関係した原初の演劇です。けれど、人形
劇の「幸せな時代」は既に終わりました。ある画期的な変革の前と後とでは同
じ姿をしていても中身はまったく違うのです。新旧の違いを把握せずに人形劇
を語ると、とんでもない逆行をしてしまうでしょう。歩は確実に進みました。
次の歩みも完了しようとしています。ちょっと慌ててしまう。だからこそ落ち
着いて、表現の荒波に飛び出した人形劇が取り組まなければならない事をやら
なければ。重要なのはプロセスです。その結果の愉快な芝居を、お手軽ではな
い人形演劇を、とっても楽しみにしています。              

銀猫商會・人形遣い
人形演劇プロジェクト2000・代表
黒谷 都


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