短期ワークショップを観てプロジェクト2000はペトル・マターセク氏を講師に迎え、
4月23日〜27日までいろいろな催しをもった。その中で、6月のワークショップ
参加希望者を対象に短期ワークショップが開催された
(もとはオーディションのみ予定だったが、短期ワークショップとなった。)
参加者は20名を越え、様々な分野(人形劇、パントマイム、造形家 等々)の
アーティストの方々で構成されていた。
初日24日は参加者が、それぞれ『わらべうた』あるいは『マザー・グース』を
テーマに考えてきた作品を発表した。(残念ながら私は出席出来なかった)
その上で、翌日25日と26日にペトル・マターセク氏によるワークショップが開催
された。実は、私は、正直言って、このワークショップを見た感動というか気持ち
を表現する術が見当たらないでいる。観ている側には、詩的であり尚かつ的確で
明快なマターセク氏の話に、参加者はいろいろなイメージを触発され解き放たれて
いくように思えた。マターセク氏が選んだ日本の作家は『宮沢賢治』である。
マターセク氏は、賢治の作品に含まれているイメージやテーマをもとにHEAVENLY
FORESTという森を想定して参加者を四つのグループに分け、それぞれ氏から与え
られた課題で作品を作り発表していった。
二日間で一つのグループが三作品、合計12作品が演じられた。
(この作品数だけでもすごくエネルギッシュである)
どの作品もよく考えられて作られている。
物を作り、身体を駆使しイメージを出し合い、作り上げていくプロセスは、作品
がしだいに洗練され、クリアなイメージになっていくのがよく見えるもので、参加
者の誰もが初めて体験する作業だったと思う。
出来上がった作品をみても面白いのだが、プロセスが見えるともっと面白い。
ボキャブラリーが少ない私の表現ではとても言い表せないものがそこにはたくさ
んある。
6月のワークショップは公開で行われる予定である。是非、観ていただきたい。
ここにはもう一つの(オルタナティヴ)『空間』と『人間』と『オブジェクト』
の明快な表現が存在していることを確かめて頂きたい。
マターセク氏の言葉の中には否定的な物は存在しない。表現を洗練させ、明らか
にしていくには全てが必要なことなのだということが良く判る。
そして何よりも、全員がとても楽しんでいたのだ。
この短期ワークショップを観る機会を得られた運営スタッフとして、感謝しています。
石井秀明:TVの特殊美術(仕掛けの着いた
セットなど)やアニメーションの仕事を経
て、現在はコンピュータソフトウェア会社
勤務CGデザイン担当
<アマチュア影絵サークル シルエットフェア所属>
沢 則行: チェコ在住の人形劇家、講師。
昨年に続き、来日公演も予定。
次号は「シルエット愛好家」の登場!
板橋由香:元・某劇団所属。現在は創作お帽子作家。
次号は「チェコからの便り」!
作品群の写真を見ただけでも“なにか”が存在する事を否定出来ない。
東欧という社会背景、民族、宗教、独自の文化を持つチェコ。
プラハの街並みは、圧倒的に美しく、また、ビールを味わった者は、世界一だと言う。
そして、水準の高い人形劇がチェコに存在する!
本企画では、作品を創りあげるメンバーを日本で公募し、ワークショップを経ての
劇場公演となる。
ものを創り、あやつる者達の、国境を超えた融合。私はそこに無限の可能性を見いだし、
この企画が実行され成功した暁には、未来につながるなにかが、それぞれの心に芽生えると
信じて止まない。
その“なにか”を感じられる存在でありたい。
山口敏宏:銀猫商會のサウンド・デザインを手がける。 Sound ConcRete 主宰。
次号は「変革を望む人」の登場!
パペマの誌面は驚異的に充実してきているのに、観たい人形劇がない。
これがここ数年、私の正直な思い。義理や付き合いで出かけたものは、
それだけのものでしかなかった。どこかで爆発しなきゃ! ビッグバン到来!
今年は、飯田で外国の作品を全部観た。(ウソ!一つのがした。)
オリジナリティのある世界が、熟練した肉体や熱気に支えられて、思いを伝えてくる。
ウヒャー、「プロジェクト」の道は遠いぞ! これらを越える作品作りを目指さなくちゃ。
スタッフになって、「がま口番」を引き受けた。
賛助会費の振り込み通知が配達されるたびに、手を合わせて感謝している。
私の周囲のアマチュア連も、多くの説明なしに、ごそっと入会してくれた。
客席からの期待は大きいぞ。
新井智子:アマチュア人形劇20年・プロジェクトを客席から応援。
次号は「悩める音響さん」の登場!
でも、この頃「これは面白いかも」と感じ出してきたんです。
というのは、宮沢賢治の作品は、結構読まれているし、評論も
たくさん出されてます。
評価は様々だと思うけど、常に作品の向こうに賢治という
〈にんげん〉がいるから何かしら、感動するのだと思う。
…で、こじつけだと思われるかもしれないが、人形劇も似た様な
ところがあるのではないでしょうか。
「ものがうごく」という感動は確かにスゴイ。
でも、その向こうにいる〈にんげん〉がみえた時に、初めて、
「見える」だけではなく「みえる」ことが可能なのではないでしょうか?
この20世紀末という時点までに、どんな分野においても、
本当に多くのものがつくられてきたと思うけど、今は
「次は何をつくろうか…」と急ぐより、敢えて「後退」して一つ一つ
「みなおす」作業が「前進」だと思う。「温故知新」っていうし…。
加藤知子:人形劇に出会って、若干1年3ヵ月。
次号は「元気印のいけてる人」の登場!
ついにハタチになりました。
無理やり一言でいうと「もう一つの」価値観を主張すること。
という説明は固いけれど、調べているうちに、意外と身近なことかもと思いはじめました。
演劇の Alternative Theater という流れは、人形劇に近づく傾向も一部あるようです。
アメリカの「パンと人形劇団」という変な名前の劇団はその流れで解釈されてるし、
この9月のNYのジムヘンソン・フェスの一番の話題作は Alternative Theater 最先端の
中国系アメリカ人の演出だし…
人間の劇に対して人形劇はもともと alternative で、欧米に対してアジアの中の日本は
alternative で… 2000年に生まれるものはまだ霧の中。
このワクワクの予感がみちしるべ、かな?
玉木暢子:あおテントしつつ、2000年にむけて奮闘開始。
次回は「若き希望の星」の登場!
このリレー連載を進行します。